『ゴキブリ退治は◯◯スプレー!』
「なんだってぇ( ≧Д≦) !どうして自分たちはいつの世も嫌われる運命なんだ!?人間だって地球を汚してばっかりじゃないか!ひどいよ!傲慢過ぎるよ!人間のほうこそ地球にとって害虫じゃないか(怒)!」
テレビの中の殺虫剤コマーシャルが流れると、部屋の隅から小さい声で愚痴!?とも悲鳴!?とも怒り!?ともとれる声が聞こえてきました。どうやら、その声が聞こえるのは自分だけのようです。その声を辿って行くと・・・
いえ違いますよ、上のセリフは私の言葉じゃなくてお宅の部屋に住んでいるゴキブリを私が代弁しただけです。
ゴキブリ殺虫剤のテレビCMを観たゴキブリが呟いたフレーズなんですが、ゴキブリの本音を表現しているとしたら、あなたはどう思いますか?
今回、私が読んだ童話「ゴキブリききいっぱつ (現代の創作幼年童話 (4))」は、人間の子供とゴキブリの友情を描いた本です。
ゴキブリの視点で人間の世界を描こうとした痕跡がみてとれます。田舎の少年ならゴキブリには免疫があるから共感できるのではないでしょうか。
ページ数・文字数が多いので親子で読み聞かせして欲しい童話です。
主人公は大阪出身で関西弁を操るオスのゴキブリ”ゴキ”と、東京に住む山下さんちの”けんち”。二人が織りなす人間と昆虫のユーモアあふれる冒険物語。
少年とゴキブリの冒険アドベンチャー物語へ
わて、大阪のゴキブリですねん。”ゴキ”と よんでくなはれ。ちいっと わけが おましてな、いまは東京の やましたさんとこの おせわに なっとります。どんな わけか、しりとうおますか。ほな、この本、よんでみなはれ。
なんと、関西出身のゴキブリは関西弁を喋るという設定に嬉しくなってしまいました。とすれば、アメリカのゴキブリは英語、フランスのゴキブリはフランス語、中国のゴキブリは中国語を話すと思います。いろいろ、想像が膨らんで楽しめます。
人間に虐げられるゴキブリが、ちょっとした勇気を振り絞り、人間に近づき生きる意味と努力を知るための冒険の旅に出るという設定。絵は父ちゃんにスリッパで狙われるゴキ。
新商品の殺虫剤を開発するとゴキブリも耐性化という進化で対応するイタチごっこ。実はゴキブリは新しい殺虫剤の存在をテレビで知っているのかも。
少年”けんち”の足裏をくすぐるゴキ。実際は足じゃなくて触覚でやると思う。しかし、それでも起きない。
耳元で呼ぶゴキブリに気付いた”けんち”は、喋るゴキブリに思わず吹き出して笑う。そんな人間の少年に好意をもつ”ゴキ”。2人は一瞬で仲良くなり談笑する。
ゴキブリの世界を知って欲しいがために、なんと、少年をゴキブリに変身させちゃった!?
自分の母親にスリッパで襲われる少年ゴキブリ(笑)。
野良猫に追い詰められるゴキと少年ゴキブリ。
絶体絶命のピンチを切り抜けて逃げる場面。
触覚を絡ませあい意思疎通を図る様子。
実は人間のほうこそがゴキブリを知らないのではないだろうか?そんな疑問を抱かせる深い内容に私は唸ってしまいました。これ、大人が読んでも面白いかも。
ゴキブリだって生きる権利はある、地球上の生物なんだということを改めて考えさせられる童話、もし読む機会があればいいですね。