綺麗な緑色の子どもカマキリを捕まえたその日の深夜、私はなぜか眠れなかった・・・。
蒸し暑い夜なのは確かだが、寝付けない原因はそれだけじゃない・・・。ような気がした。
全身から吹き出る汗が、なんだかいつもと違う粘り気がある。手の甲で拭(ぬぐ)った汗をチロリ、と舐めてみる。
ん((;゚Д゚))!?こ、この汗は体温調整の汗ではない、この味は・・・身の危険が迫っている時のシグナル。
は!?ということは今、自分に、何者かが危害を加えようと迫っている(;゚Д゚)!?
起き上がりキョロキョロと辺りを見回す・・・何も見えない・・・。そりゃそうだ、真っ暗なんだもの・・・。
部屋の照明を点ける。
チカチカ・・・ピカーン!部屋が明かりで照らされた。
すると、何やらカサカサ、と動く黒い物体が・・・
ん(;゚Д゚)!?
ぼ、ボヤケて見えない・・・。
『メガネ、メガネ~( ³ω³ )ノウロウロ』
と漫才のボケとツッコミを1人で深夜に演じる私・・・(恥)。
メガネをかけてと(0-0ヘ;);
『・・・・。』
ゴキブリっぽいシルエットにおののく様子
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ん?これは夢じゃないのか!?
ゴシゴシ・・・
(0-0ヘ;);
ま、まさかヽ(´ω`*)・・・
つД`)オー・ノー!
立派なワモンゴキブリの成虫が真夜中に登場!!!
そっとその場をゆっくりと去りハエ叩きを手にしてゆっくりと戻る。
ワモンゴキブリは油断している、そ~っと近づき、振りかぶって・・・
バチコーン!
グヘェ~!と落下していく。しかし、これは奴らの作戦でもある。
致命傷でもないのに瀕死の状態を演じて逃げるための知恵だ。
人間はダマされてはいけない(怒)!私も散々ダマされてようやく気付いた。
ゴキブリは昆虫の中でも賢い部類に属すると。
しかし、私はゴキブリよりも僅かに賢い。だから負ける訳にはいかないのだ。
さて、今のうちに台所に設置してあったダイソーの全く捕れないゴキブリ捕獲器を、死んだふりを演じるゴキブリの前方に仕掛ける。
そして、ハエ叩きでお尻の辺りをチョチョンと小突くと、
ゴキーッ!と雄叫びを上げるかのような猛ダッシュで突進!
見事、粘着シートの餌食となったのです。
自分が罠に引っかかったとも気付かないゴキブリは長い触覚だけを捕獲器の窓から出してウネウネ、ウネウネと周囲の状況を察知しようとしている。
『ん?ここは誰?わたしは何処?足が動かないよ・・・。んしょん~、ま、まさか、あの子供騙しのホイホイがなぜ目の前に・・・、そして自分がその中に・・・』
自分の身に降りかかった事態を把握できず飲み込めていないワモンゴキブリ。
DAISOのゴキブリ捕獲器の窓から長い触覚をクネクネ。宇宙と交信を図っているようにも見えるが声にならない願いは多分、届かない。
『あれぇ~!?どこかで見たようなこの風景は、まさか、ゴキブリトラップの罠に引っ掛かっちゃったの!?』
粘着シートに腹だけは持って行かれまいと必死に足を突っぱねて踏ん張る様子。もし、触覚までも張り付いたら最後・・・。
『クッソぉ!まだアース製薬やフマキラーなら分かるけど、DAISOの罠だけは絶対に嫌だぁ(泣)!ゴキブリのプライドが許さないぃぃ(泣)ふんがぁ!!!』
捕獲器1つが数十円の単価の罠に掛かったと知られたらワモン一門の恥さらしだと訴えているようです。せめて名誉ある死を選ばせて!と嘆く声に耳を傾ける私。そうか、私だって鬼じゃない。そうだお前にチャンスを与えよう。
そして遂に世紀のドリームマッチが、深夜に決行されようとしています。そう、今宵、ゴキブリ対カマキリの世紀末デスマッチを開催するのです!!
『え!?あれは虫カゴ・・・。自分をペットにするつもりかい?ん!?屋根でスヤスヤ寝ているのは・・・遠い昔の仲間、カマキリ・・・。』
命と同等の鎌(カマ)を折りたたんでコウモリのごとくぶら下がった状態で眠るカマキリ。
『グースカピー(つ∀-)zzz』
虫カゴの中で生命体はカマキリただ1匹のみ。そこへ・・・そ~っとゴキブリを移設する。
照明で明るくなったが未だにウトウト夢の中。ゆっくりと蓋を開けるもまだ起きない・・・。そうとうお疲れの様子・・・。
カビの生えたドッグフート(DAISOのささみジャーキー)を横目に不安げなワモンゴキブリ。
『ど、どうすんのさ!ゴキブリを弄ぼうったって全然面白くないんだから(怒)!』
突然の横暴に怒り狂い暴れるワモンゴキブリだが、手足が不自由な状態では触覚を激しくクネラせるしか抵抗する術がない・・・。
私は二枚重ねにした手袋を装着し、優しく粘着シートからゴキブリを引き離し、虫カゴへ投入した・・・。
ひゅ~、コトン!
背中から虫カゴに落下したワモンゴキブリは10秒ほどの間、亀のように足をジタバタさせてひっくり返って起き上がろうともがき続ける。
そこでようやく異変に気づいたカマキリが目を覚ます。
『ん!?なんかウルサイし変な匂いもする・・・クッサ!なんだこの臭気は!?』
『ご、ごキーッ!ワシャシャシャッ!ジタバタッ!フンギャ~!ワッシャワシャ、ゴロリン!ゴッキー(喜)!!!』
『なに!?なになに騒がしいよ!?こんな夜中に、泥棒!?ここは盗むもの何もないよ!って、え!?ギャ~ご、ごご、ゴキブリぃ~(驚)!!!』
ひゅ~、バタンッ!と目が覚めて驚いて背中から落下したカマキリが同じく仰向けで足をジタバタさせてもがく!そしてその様子に驚いたゴキブリがカゴの隅っこに避難する!
『いやぁ~!あの焦げ茶色の臭い虫、知ってるぅ!昆虫界の黒い悪魔、ワモンゴキブリだぎゃー!』
なんということでしょう!目の前に巨大なゴキブリが出現してパニック状態に陥るカマキリは、威嚇するでもなく臨戦態勢にも入らずに一目散に逃げ出したのです!